ブリュッヘン/モーツァルト録音集(11CD)
ブリュッヘンが18世紀オーケストラを指揮した録音はどれも高い評価を得ていましたが、中でもモーツァルトは時代楽器と音楽の相性が良く、サウンド面での魅力でも際立ったものがありました。ブリュッヘンが仲間たちと結成した18世紀オーケストラは、独特の室内楽風なアンサンブルにも特徴があり、生き生きとした呼吸の絶妙さや、煽ったり歌わせたりの面白さなど、機能的アンサンブルとは違った部分に比重をかけた演奏は手作り感も満載で実にユニーク。しかもまだまだパワフルだったブリュッヘンの傾向もあって、音楽の随所に、覇気に富むピーク・ポイントが形づくられているのも素晴らしいところです。
なお、Disc3のみ、イギリスの古楽器グループ、エイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団が助っ人として参加、18世紀オーケストラとの合同演奏を展開しています。
【ブリュッヘン・プロフィール】
1934年10月30日にアムステルダムに誕生。アムステルダム音楽院でケース・オッテンからリコーダーとフルートを学び、アムステルダム大学では音楽学を修めています。
卒業後、21歳で王立ハーグ音楽院の教授の職を得る一方、リコーダー奏者、フルート奏者としても演奏活動を展開、非常に優れた演奏技術と研究に裏打ちされた解釈によってすぐに頭角を現すようになり、まずテレフンケン(後のテルデック)・レーベルにレコーディングをおこなうようになり、その後、1970年代にはセオン・レーベルで数多くのアルバムを制作することになります。
キャリアの初期はモダン楽器奏者だったブリュッヘンですが、やがて古楽器へと転向、グスタフ・レオンハルトやアンナー・ビルスマ、クイケン兄弟、ニコラウス・アーノンクールといった奏者たちとの数多くの共演を通じて解釈を深めていきます。
1972年にはリコーダ・アンサンブル「サワークリーム」を結成して、リコーダーの可能性をさらに探究、また、フラウト・トラヴェルソ奏者としても手腕を発揮し、古楽器フルート音楽の見事な解釈を披露していきます。
1981年になるとブリュッヘンは気の合う仲間を中心に古楽器楽団「18世紀オーケストラ」を結成、今度は指揮者として、バロックからロマン派に至る音楽の本来の姿を探求する道に踏み出すことになります。演奏会のほかレコーディングや映像収録にも活躍した指揮者としてのブリュッヘンは、やがてモダン楽器による通常のオーケストラにも客演するようになって活動の幅を広げます。2009年には新日本フィルハーモニー交響楽団にも客演して話題となっていました。(HMV)
【収録情報】
Disc1
モーツァルト:
● 交響曲第28番ハ長調 K.200(録音時期:1990年)
● 交響曲第35番ニ長調 K.385『ハフナー』(録音時期:1985年)
● 交響曲第36番ハ長調 K.425『リンツ』(録音時期:1989年)
Disc2
● 交響曲第29番イ長調 K.201(録音時期:1993年)
● 交響曲第33番変ロ長調 K.319(録音時期:1993年)
● 交響曲第31番ニ長調 K.297(300a)『パリ』(録音時期:1985年)
Disc3
● 交響曲第34番ハ長調 K.338(録音時期:1991年)
● セレナード第8番ニ長調 K.286『ノットゥルノ』(録音時期:1991年)
● 交響曲第40番ト短調 K.550(録音時期:1991年)
Disc4
● 歌劇『フィガロの結婚』 K.492〜序曲(録音時期:1988年)
● 交響曲第38番ニ長調 K.504『プラハ』(録音時期:1988年)
● 交響曲第39番変ホ長調 K.543(録音時期:1988年)
● 歌劇『皇帝ティートの慈悲』 K.621〜序曲(録音時期:1986年)
Disc5
● 交響曲第40番ト短調 K.550(録音時期:1985年)
● 交響曲第41番ハ長調 K.551(録音時期:1986年)
Disc6
● 行進曲 ニ長調 K.249(録音時期:1991年)
● セレナード第7番ニ長調 K.250『ハフナー』(録音時期:1991年)
Disc7
● セレナード第10番変ロ長調 K.361『グラン・パルティータ』(録音時期:1988年)
Disc8
● ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466(録音時期:1986年)
● ピアノ協奏曲第24番ハ短調 K.491(録音時期:1986年)
Disc9
● クラリネット協奏曲イ長調 K.622(録音時期:1985年)
● クラリネット五重奏曲イ長調 K.581(録音時期:1987年)
Disc10
● フルート協奏曲第1番ト長調 K.313(録音時期:1991,93年)
● フルート協奏曲第2番ニ長調 K.314(録音時期:1994年)
● フルートと管弦楽のためのアンダンテ ハ長調 K.315(録音時期:1991,93年)
● フルートとハープのための協奏曲ハ長調 K.299(録音時期:1991,93年)
Disc11
● ミサ曲ハ長調 K.317『戴冠ミサ』(録音時期:1991年)
● ヴェスペレ ハ長調 K.339(録音時期:1991年)
● アヴェ・ヴェルム・コルプス K.618(録音時期:1991年)
ジョン・ギボンズ(フォルテピアノ:Disc8)
エリック・ヘプリック(バセット・クラリネット:Disc9)
ルシー・ヴァン・ダール(ヴァイオリン:Disc9)
アルダ・ストゥーロプ(ヴァイオリン:Disc9)
ウィム・テン・ハーヴェ(ヴィオラ:Disc9)
ウォルター・メラー(チェロ:Disc9)
コンラート・ヒュンテラー(フルート:Disc10)
ヘルガ・シュトルク(ハープ:Disc10)
マリネッラ・ペンニッキ(ソプラノ:Disc11)
カトリーヌ・パトリアス(アルト:Disc11)
セジャー・ヴァンデルステーネ(テノール:Disc11)
ジェレ・ドライヤー(バス:Disc11)
オランダ室内合唱団(Disc11)
エイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団(Disc3)
18世紀オーケストラ
フランス・ブリュッヘン(指揮)
録音方式:ステレオ(デジタル)